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日本計算機統計学会メールニュース
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No.315 (2023年12月11日発行)
発行:日本計算機統計学会 広報委員会
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目次
○ 2023年度統計関連学会連合大会の報告
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○ 2023年度統計関連学会連合大会の報告 [本学会ほか主催]
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運営委員長 竹内光悦(実践女子大学)
実行委員長 西山慶彦(京都大学)
プログラム委員長 橋口博樹(東京理科大学)
1. 大会概要報告
竹内光悦(実践女子大学)
2023年度統計関連学会連合大会は,2023年9月3日(日)-7日(木)に統計関連
学会連合に所属する6学会(応用統計学会,日本計算機統計学会,日本計量生
物学会,日本行動計量学会,日本統計学会,日本分類学会)の主催により開
催されました。3日は市民講演会とチュートリアルセッションが,4日-7日は
本大会が行われました。今回は京都大学吉田キャンパスにて,一部オンライ
ンもありましたが,主として現地開催とするハイブリッド開催で行いました。
昨年に引き続き大会開催期間を5日間で行いましたが,大きな問題もなく無
事終了でき,大変嬉しく思います。市民講演会の参加者は現地参加が 195人,
オンライン参加が 197人の合計 392人と大変盛況でした。また,参加登録者
として,チュートリアルが326名,本大会参加登録者数は1,054名でした。講
演件数は352件(キャンセルを除く)にのぼり,今年度の大会は盛会のうちに
終了しました。講演件数の内訳は,プレナリーセッション1件,企画セッショ
ン134件(ソフトウェア・デモンストレーションセッション4件を含む),一般
セッション190件,コンペティションセッション27件(1 件は審査対象外)で
した。
今回の大会が無事に終了し,また大会の円滑な運営を行うことができまし
たのも,ひとえに関係者の皆様のご理解とご支援によるものと心より感謝し
ております。講演者,座長,企画セッションオーガナイザー,参加者の皆様
にお礼を申し上げます。また,今回の大会では,講演報告集を初めて電子版
を標準としたことなど,新たな試みも行い,その有用性や課題も分かりまし
た。これらは今後の参考にしたいと思います。また主として対面としたこと
から参加人数も登録者数で千人を超えるなど,予想を大きく上回り,大会関
係者として,改めて,感謝いたします。また数年ぶりに対面での人数を制限
した懇親会にも早々のご予約があり,予約終了後のお申し込みをお断りせざ
るを得ない状況でしたこともお詫びしたいと思います。これらの大きな変化
にもかかわらず,例年と変わらぬご協賛をいただいた多くの企業・団体様に
も重ねてお礼申し上げます。
連合大会は今回で22回目を迎え,対面/オンラインでの学会開催の方法も
経験を積み,また参加者のより参加しやすい体制づくり,またスタッフの業
務の効率化も含め,一部の事務局業務について外部委託を行いました。ウェ
ブサービスやQRコードによる当日受付などにおいても,主として対面で行っ
ていたときは情報の一元管理や受付でのスムーズな対応など,様々な点で進
化していると感じています。もちろんまだまだご不便な点などもあったかと
思います。それを大きな心で受け入れてくださった6学会の会員の皆様のご
理解,ご協力に感謝申し上げます。最後に,宿久組織委員長,西山実行委員
長,橋口プログラム委員長,地道プログラム副委員長,藤木運営副委員長を
はじめ,ボランティアで活動してくださいました,実行委員,プログラム委
員および運営委員の皆様,京都大学を中心とした職員およびアルバイト学生
の皆様のご尽力に深く敬意を表します。
2.市民講演会・チュートリアルセッション報告
西山慶彦(京都大学)
今年の市民講演会では,京都大学文学研究科の大塚淳准教授に講師を依頼
し,「AI以降の科学を考える」というタイトルで御講演して頂きました。科
学と統計学の関係を歴史的に振り返り,近年のAI技術の急激な発展によって
その関係がどのように変わっていくのかについて議論がされました。更に,
人間の理解を超えた莫大なデータを機械学習によって処理されて得られた結
論が持つ科学的な意味についての哲学的考察が加えられました。大所高所か
ら科学と統計学のかかわりについて考える機会を提供して頂き,現地,オン
ライン合わせて400名近い参加登録があり,盛況のうちに終了となりました。
続くチュートリアルセッションでは東京工業大学の岡崎直観教授に,「言語
モデルと自然言語処理のフロンティア」というタイトルで御講演して頂きま
した。ChatGPT発表以降,大規模言語モデルが社会に大きな影響を及ぼして
いますが,その基礎となる自己回帰型のニューラル言語モデルを最尤法で学
習することや,長距離依存を効率よく扱う注意機構によって飛躍的に進化し
たトランスフォーマーのしくみを数式レベルで丁寧に解説いただきました。
最新の言語モデルが取り入れている様々なアイデアや,このような技術が社
会へ与える悪影響まで広範な話題が凝縮された 3 時間でした。320を超える
参加登録者によって現地,オンラインともに多くの質問があり,盛況のうち
に終了となりました。
最後に,市民講演会とチュートリアルセッションの開催に際して,御講演
を快くお引き受けくださった 大塚淳先生,岡崎直観先生に心から感謝申し
上げます。
3.プレナリーセッション,企画セッション報告
黒沢健(東京理科大学)・橋口博樹(東京理科大学)
連合大会初日の9月4日(月)午前に,プレナリーセッションが開催されまし
た。今年度は「日本統計学会欧文誌から国際的新雑誌への発展を計る取組」
による補助を受けてJeng-Min Chiou 教授(National Taiwan University,
Academia Sinica)からMultiple change-point detection in functional
dataというタイトルでご講演いただきました。
その他に本大会では,ソフトウェア・デモンストレーションセッションを
含む30件の企画セッションが開催されました。セッション名とオーガナイザー
(敬称略)を以下に示します。
(01)ビジネスにおけるデータ科学の応用(松田安昌(東北大))
(02)統計エキスパート人材育成-多様な分野での統計活用と発展
(中西寛子(統数研))
(03)統計数理研究所医療健康データ科学研究センター
「医療健康データ科学のフロンティア」
(松井茂之(名古屋大・統数研),伊藤陽一(北海道大),
田栗正隆(東京医科大),三分一史和(統数研))
(04)アカデミアと企業との共同研究(川野秀一(九州大),藤澤洋徳(統数研))
(05)個別化医療に向けたヘルスデータサイエンスの実践:
臨床予測モデルの最前線(手良向聡(京都府立医科大),松山裕(東京大))
(06)応用統計学会企画セッション「高次元統計解析の最近の発展」
(西山貴弘(専修大),山本絋司(横浜市立大))
(07)日本計算機統計学会 企画セッション
『医療ビッグデータと疫学・統計の実際』
(弘新太郎(ファイザーR&D合同会社))
(08)アクチュアリアル・データサイエンスの広がり(清水泰隆(早稲田大))
(09)応用統計学会 学会賞受賞者講演
(南美穂子(慶應義塾大),星野崇宏(慶應義塾大))
(10)統計情報研究開発センター統計・データサイエンス力向上のための授
業に係る優秀事例表彰授賞式・記念講演
(會田雅人(統計情報研究開発センター))
(11)日本統計学会 会長講演,各賞授賞式,各賞受賞者記念講演
(大森裕浩(東京大))
(12)日本統計学会 各賞受賞者記念講演(大森裕浩(東京大))
(13)確率微分方程式モデリングのための統計ソフトウェア開発プロジェク
トYUIMAにおける最近の成果の紹介(小池祐太(東京大))
(14)統計改革の新地平 ―経済活動の構造変化をどのように捉えるか―(1)
(肥後雅博(東京大))
(15)統計改革の新地平 ―経済活動の構造変化をどのように捉えるか―(2)
(肥後雅博(東京大))
(16)公的統計のデータ構造化とミクロデータ分析の展開
(南和宏(統数研),伊藤伸介(中央大),高部勲(立正大))
(17)統計・データサイエンス領域の研究・実践における多様性の育成
(多様性推進特別委員会,女性統計家・データサイエンティスト育成分科会)
(18)データサイエンス系学部の現況(椎名洋(滋賀大))
(19)大規模データのプライバシー保護を目指した秘匿措置の展開可能性
(佐井至道(岡山商科大), 星野伸明(金沢大),伊藤伸介(中央大))
(20)アカデミックにおける多様性と多様性推進の取り組みについて
(南美穂子(慶應義塾大))
(21)AI・デジタル時代に向かう統計・データサイエンス教育方法論の新展開
(竹内光悦(実践女子大),藤井良宜(宮崎大),渡辺美智子(立正大))
(22)ベイジアンモデリングの進展(入江薫(東京大))
(23)日本計量生物学会奨励賞受賞者講演
(川口淳(佐賀大),口羽文(神奈川県立保健福祉大),
長谷川貴大(塩野義製薬),横田勲(北海道大))
(24)プレナリーセッション
(荒木由布子(東北大),各務和彦(名古屋市立大))
(25)地震ビッグデータ解析の最前線
(長尾大道(東京大),加藤愛太郎(東京大),矢野恵佑(統数研))
(26)アジアの公的ミクロ統計の活用(馬場康維(統数研),岡本基(統数研))
(27)社会的関心の高い問題における統計家の貢献と社会的使命
-ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの安全性評価を題材にして
(吉村健一(広島大),大津洋(順天堂大))
(28)偏りのあるデータに対する解析手法の最前線
(森川耕輔(大阪大),菅澤翔之介(慶應義塾大))
(29)日本計量生物学会シンポジウム「計量生物学と生態学の新展開」
(島津秀康(Loughborough University))
(30)ソフトウェアデモンストレーションセッション(竹内光悦(実践女子大))
4.コンペティションセッション報告
地道正行(関西学院大学)
今年度は,9月4日(月)から9月5日(火)の2日間に5つのコンペティションセッ
ションが設けられました。全部で28件の発表申込がありましたが,発表申し
込み締め切り日までに,関連学会への入会あるいは入会の手続きが確認でき
なかった1件は審査対象外とし,1件の発表辞退がありましたので,実質的に
は26件の発表がありました。
審査では,今年度もこれまでと同様に,研究内容とプレゼンテーションの
双方を評価対象としました。限られた時間で,専門外の人に対して,いかに
自分の研究内容を報告するかということも重要な評価項目です。原則として
7名の審査員が審査を担当し,各発表に対してA (5点) - E (1点)の評価を与
えました。全審査員のスコアの最大値と最小値を除いた刈り込み平均により
順位をつけ,最優秀報告賞と優秀報告賞を決定しました。
選考の結果,最優秀報告賞1件,優秀報告賞4件が選ばれ,9月7日(木)の
12:10から対面形式により表彰式を執り行いました。
最後に,審査員および座長をお引き受けいただいた方々に,この場を借り
て御礼申し上げるとともに,ご発表いただいた全員の方々の研究が今後益々
進展することを願っております。
今年度の表彰者は下記の通りです。
最優秀報告賞 (1件)
澤谷 一磨 (東京大学)
「非対称リンクをもつ高次元一般化線形モデルの統計的推論」
優秀報告賞 (4件)
塩谷 天章 (東京大学)
「多変量Neyman-Scott点過程モデルの統計推測とその高頻度金融データ
解析への応用」
西森 勇人 (東京大学)
「高次元入力に対する2層線形ニューラルネットワークの特徴学習と汎
化誤差解析」
中川 皓太 (東京大学)
「非一様確率的ブロックモデルにおけるコミュニティ推定のminimax
レート」
武石 将大 (統計数理研究所)
「高次元サブグループ分析における縮小化尤度比検定」
5.コンペティション受賞者の言葉
コンペティション受賞者の言葉をいただいておりますが,詳細は
https://confit.atlas.jp/guide/event/jfssa2023/static/announce
の「2023年度統計関連学会連合大会報告」をご覧ください。