日本計算機統計学会「設立趣意書」

 現在の統計学は、高度に発達したコンピュータ・システムを駆使する情報化社会にあって,研究とその適用の分野を著しく拡大しております。多くの分野で作成されているさまざまなデータベースによる統計的データ解析の社会的・学術的寄与は、統計学の現代における使命と期待を如実に表わしているといえます。欧米においても、計算機統計学が提唱され、計算機による統計解析ならびに統計ソフトウエア・パッケージの研究開発と評価が新しい統計学研究の重要な原動力となっております。最近では、商業用のプログラム・パッケージも出現してきており、これらに関しても商業用とはいえ、統計学の重要な社会的寄与として少なからず評価されるべきものと思います。

 ひるがえって,国内の現状を眺めますと、統計学研究者とソフトウエアの研究開発関係者との連絡協力はまだ十分と言えず、お互いの研究成果も限られた範囲に留まって、その価値を十分に発揮していないというのが実情のように思われます。

 そこでこの両者が密接に連絡をとり共同研究開発をすることによって統計的方法論とそのソフトウエアの基礎ならびに応用研究を行う学会が必要と考え、ここに日本計算機統計学会(Japanese Society of Computational Statistics)の設立を発案する次第です。