第5巻第2号 目次
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論文
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射影追跡法における感度分析 今井英幸・佐藤義治
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最小2乗距離を有する2次曲線の導出法 水田正弘
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データ適応型ハザード・モデルのあてはめと診断 惣田隆生・田崎武信・後藤昌司
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総合報告
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多重比較検定とグラフィクスの対峙と調整 田崎武信・財前政美・後藤昌司
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ソフトウェア記事
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ANSI/ISOグラフィクス標準:PHIGSとPHIGS準拠のライブラリFIGARO+
木村利明
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標本再抽出に基づいて多重性調整p値を求めるプロシジャMULTTEST 岸本淳司
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パソコン統計解析ハンドブックVI:グラフィクス編 垂水共之
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統計パッケージHALBAUについて 高木廣文
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地図情報システムURBANMAP−p 利満慎一・奥村俊行
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NECパソコンで動く本格的GIS:テラソフト(TerraSoft) 原紀志夫・梅沢光一
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学会活動記事
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日本計算機統計学会第6回大会報告 佐藤義治
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1991年度日本計算機統計学会賞の受賞者 田中 豊・佐藤隆博
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関連学会記事
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健康維持のためのシステム科学に関する第5回国際会議(SSHC’92)に参加して
正法地孝雄
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国際臨床生物統計学会(ISCB’92)に参加して 永井武昭・浦狩保則
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COMPSTAT’92に参加して 林 篤裕
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第2回日仏データ解析セミナー:データの科学とその応用 林知己夫
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読者の広場
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一読者として 佐藤美佳
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“S”と「日本計算機統計学会」 大橋栄一
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中国赴日留学生予備教育に参加して 田村義保
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楽しい楽しい海外旅行 井上恭子
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45歳社内研修(FIMAT)雑記:日本人と自分について 五十嵐隆
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「計算機統計学」既刊号
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総目次:第1巻〜第5巻・第1号 編集委員会
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編集委員会からのお知らせ
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執筆要項 編集委員会
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ソフトウェア記事:募集要項 編集委員会
射影追跡法における感度分布
今井英幸, 佐藤義治:北海道大学 工学部 情報科学教室
〒060 札幌市北区13条西18丁目 (Tel. 011-716-2111)
射影追跡法は, 多次元データを直線や平面などの低次元空間に射影することによって, その構造の特徴を探索するデータ解析の手法である. 射影追跡法では「射影指標」と呼ばれる射影されたデータの興味深さを表す指標を最大にする空間を探しだし, それを計算機の端末画面などに表示することによりデータのもつ構造を探索することから, 計算機の計算能力やグラフィック機能を活用する手法であるといえる. 本論文ではデータが微小に変化することによって射影追跡で探しだされる射影方向がどのように影響を受けるかを感度分析的手法によって評価することを試みる.
keyword{Perturbation, Projection index, Outlier, Numerical investigation}
最小2乗距離を有する2次曲線の導出法
水田正弘:北海道大学 工学部 情報科学教室
〒060 札幌市北区13条西18丁目 (Tel. 011-716-2111)
データが有する構造を記述するための基本的方法として, 多次元空間内のデータ点に曲線をあてはめる多くの手法が開発されている. とくに, 各次元が説明変量と目的変量に分けられるときには, 回帰解析や平滑化の方法が統計学の裏付けのもとに開発されている. しかし, データの各次元が同質であり, 説明変量と目的変量に分けることができず, データ点が順序付けされていない場合の曲線のあてはめに適した手法はそれほど多くない. このようなデータに対して主成分解析を利用すると, データ点との2乗距離の総和が最小となる直線が得られる. 本稿の目的はこの方法を2次曲線のあてはめに拡張することである. データ点と2次曲線との2乗距離の総和を評価関数とし, この関数およびその偏徴分を数式で表すことができる. そのような関数表現を利用して, 2乗距離の総和が最小となる2次曲線を求める方法を提案する. さらに, 得られる2次曲線のいくつかの性質を考察するとともに, それらの性質を数値例により示す.
keyword{Curve fitting, Quadratic curve, Least-squares distance}
データ適応型ハザード・モデルのあてはめと診断
惣田隆生, 後藤昌司:塩野義製薬(株) 解析センター
〒564 吹田市泉町 1-22-41 (Tel. 06-384-1171)
田崎武信: 塩野義製薬(株) 解析センター研究所室
〒553 大阪市福島区鷺洲 5-12-4 (Tel. 06-458-5861)
共変量を生存時間分布のハザード関数に結合させるハザード・モデルは, 乗法型モデルと加法型モデルに大別できる. 生存時間研究において, 代表的に利用されている比例ハザード・モデルは乗法型モデルの特殊な場合に相当する. 本稿では, 乗法型と加法型を包括するモデル(データ適応型ハザード・モデル)のあてはめを通して, 共変量の影響を乗法型モデル, とくに比例ハザード・モデルで評価することの適切性を検討する. さらに, 乗法型モデルの枠内で比例ハザード・モデルの適切性を診断するために, 比例ハザード・モデルにおける線形予測子を加法予測子に拡張したモデル(一般化加法比例ハザード・モデル)のあてはめを検討する. この一般化加法比例ハザード・モデルと比例ハザード・モデルのあてはめを対比して, 共変量の影響を比例ハザード・モデルで表現することの適切性を二三の実際例で評価する. データ適応型ハザード・モデルは乗法型モデル, とくに比例ハザード・モデルの適合度診断, および一般化加法比例ハザード・モデルのあてはめは比例ハザード・モデルの「線形性」の仮定の点検に有用であることを示唆する.
keyword{Data adaptive hazard model, Multiplicative model, Additive model, Effect of covariates, Diagnosis}
多重比較検定とグラフィクスの対峙と調整
田崎武信, 財前政美: 塩野義製薬(株) 解析センター研究所室
〒553 大阪市福島区鷺洲 5-12-4 (Tel. 06-458-5861)
後藤昌司:塩野義製薬(株) 解析センター
〒564 吹田市泉町 1-22-41 (Tel. 06-384-1171)
数個の標本平均を同時に比較するための統計的方法として, 多重比較検定法が頻繁に利用されている. しかし, それらの方法では一般に多数の検定を繰り返すことから, 検定結果の全体的な解釈が往々にして困難である. ここでは, 多重比較検定法の代替として, 標本平均のクラスタリング法を議論する. とくに, Tasaki et al.(1987)でとりあげられた6個の方法と McLachlan & Basford(1988)の混合分布モデルの接近法を議論する. これらの方法のうち階層的クラスタリング法では, その結果をデンドログラムに要約して表現するのが便利である. ここでは, 標本平均の比較に適したデンドログラム表現の修正を提案する. また, 混合分布モデルのあてはめ結果を表現するためのグラフィカル手法を提案する. そして, 延べ7種のクラスタリング法とそれらに付随のグラフィカル表現を3個の文献データの再解析を通して対比する.
keyword{Analysis of variance, Graphical representation, Sample mean clustering, Dendrogram, Mixture model, Half circle graph}
ANSI/ISOグラフィクス標準:PHIGSとPHIGS準拠のライブラリFIGARO+
木村利明:(株)電通国際情報サービス CAE技術部
〒164 東京都中野区中野 4-11-10 アーバンネット中野ビル (Tel. 03-3228-6115)
標本再抽出に基づいて多重性調整p値を求めるプロシジャMULTTEST
岸本淳司:(株)SASインスティチュートジャパン 統計解析研究室
〒104 東京都中央区赤石町 64 (Tel. 03-5565-8381)
多重検定の問題に対して多重性を調整した p値を求めるための一般的な方法にブ一トストラップまたは並べかえに基づいたランダムな標本再抽出シミュレーション法がある(Westfall & Young, 1989). SASシステムのリリース6.07で追加された新しいプロシジャMULTTESTでは, この方法により, さまざまな多重性調整p値が容易に得られることを示す.
パソコン統計解析ハンドブックVI:グラフィクス編
垂水共之:岡山大学 教養部
〒700 岡山市津島中2-2-1 (Tel. 0862-52-1111)
『パソコン統計解析ハンドブック』シリーズの最終巻である「グラフィクス編」の特徴と機能を概説する.
統計パッケージHALBAUについて
高木廣文:統計数理研究所
〒106 東京都港区南麻生4-6-7 (Tel. 03-3664-1695)
調査資料に基づく分析を, 手元にあるパーソナル・コンピュータ(パソコン)で簡単に行えれば, 極めて便利である. 最近の技術的進歩により, パソコンの性能も著しく向上した. その結果, 以前では考えられなかったような, 高度な統計計算が手軽に行えるようになった. 我々は, そのような背景のもとで, データ解析用パッケージ HALBAU(High quality Analysis Libraries for Business and Academic Users, 通称「はるぼう」)を開発した. ここでは, そのバージョン3.33版について紹介する.
地図情報システムURBANMAP−p
利満慎一, 奥村俊行:国際航業株式会社 コンサルタント事業部
〒102 東京都千代田区六幡町 (Tel. 03-3237-3621)
URBANMAP-pは, パーソナル・コンピュータ上で稼働する地図情報システムとして開発された. 本稿では上記システムの特徴と機能を中心に紹介する.
NECパソコンで動く本格的GIS:テラソフト(TerraSoft)
原 紀志夫:(株)ビジュアル・サイエンス
〒162 東京都新宿区山吹町332番地 ビラ早川 (Tel. 03-5261-8601)
TerraSoft(テラソフト)は, パーソナル・コンピュータ(パソコン)上で稼働する本格的 GIS(Geographic Information System:地理情報システム)であり, カナダで開発された. 本稿ではテラソフトの特徴とその応用分野について紹介する.
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